- 溶接工は本当にきついの?
- 溶接工の収入はどうなの?
- 溶接工に向いているのはどんな人?
溶接工を知らないまま仕事に就くと、精神的・肉体的ストレスや収入に対する不満などが起きる場合があります。この記事では「溶接工はやめとけ」と言われる理由や、それでも感じるやりがいについて詳しく解説します。溶接工になる方法と向いている人の特徴も紹介するので、溶接工の仕事を考えている方は必見です。
記事を読めば、溶接工の仕事を理解でき、自分に合っているかを判断できます。溶接工はきびしい職業ですが、その中にも多くのやりがいや魅力があります。溶接工について学び、自分に合った職業選択をしましょう。
溶接工がやめとけと言われる理由
溶接工はやめとけと言われる理由は以下の5つです。
- 労働環境がきびしい
- 身体への負担が大きい
- 職業病のリスクがある
- 職場の人間関係が難しい
- 収入面で不満を持ちやすい
労働環境がきびしい
溶接工はやめとけと言われる理由の1つに、労働環境のきびしさが挙げられます。
- 長時間の労働が一般的で、残業が多い
- 高温や騒音、有害な煙などで作業環境がきつい
- 屋外での作業が多いため、夏は暑く、冬は寒い
- 緊急の修理が必要な場合、休日や夜間の出勤も求められやすい
- 機械的な故障や設備の不備が作業の遅延を引き起こしやすい
溶接工は、労働環境がきびしいため体力と精神力を同時に要求される職業と言えます。きびしい環境に耐えうる準備と覚悟が必要です。
身体への負担が大きい
身体への負担が大きい理由は以下が挙げられます。
- 長時間の立ち仕事が必要であり、足と背中に負担がかかる
- 高温環境での作業が多いため、熱中症や脱水症状のリスクがある
- 溶接の際に発生する紫外線や強い光による目や皮膚へのダメージがある
- 重いものを頻繁に持ち運び、肩や腰に負担が生じる
- 騒音が大きく、耳の聞こえが悪くなる
溶接工は身体の負担が大きいため、溶接用のヘルメットや保護メガネ、耳栓などの安全対策が必須です。定期的な健康診断やストレッチ、適切な休息をとるのも重要です。熱中症予防のためには、こまめな水分補給をしましょう。
職業病のリスクがある
溶接工の仕事は多くのリスクを伴いますが、とくに以下のような職業病のリスクがあります。
- 溶接の光に含まれる紫外線の放射線障害
- 溶接の強い光によって引き起こされる目の疾患
- 長期間にわたる有害な煙やガスによる呼吸器官の病気
- 火花や熱による火傷、光化学反応による皮膚病
- 長期間の騒音による聴覚障害
職業病のリスクを減らすためには、会社がしっかりと安全対策を行っているかどうかも重要なポイントです。
職場の人間関係が難しい
溶接工の職場は、きびしい環境なので、人間関係が難しいと感じる人もいます。きびしい上下関係が原因で、ストレスを感じてしまうケースもあります。作業中は、溶接用のヘルメットや防護メガネ、防塵マスクなどを身に着けるため、コミュニケーションをとるのがたいへんです。
- 騒音職場でもあるため、大きな声を出す必要があり、会話をしない人もいる
- 上司とのコミュニケーション不足が原因で、指導不足を引き起こす可能性がある
- 溶接中の防塵マスクなどによって上司の表情も分かりにくく、職場内の緊張が高まる
- 労働環境のきびしさからくる精神的な負担が人間関係に影響を与える
熟練の技術を持った人は、職人気質であり、仕事にきびしく話しかけづらいため、新入りが馴染みにくい環境でもあります。職場の人間関係が難しいと、働く側にとって大きなストレスです。職場の雰囲気が悪いと、仕事へのモチベーションが下がるため、良好な人間関係を築くための努力も必要です。
収入面で不満を持ちやすい
気になる溶接工の収入ですが、他の仕事と同様に、会社や経験によって大きく異なります。未経験者の場合、他の職種と比較して給与が低い傾向にあります。溶接工の全国の平均年収は448万円(※1)です。
日本の平均年収は461万円(※2)です。溶接工の年収は、平均年収より低いため収入面で不満を持ちやすいですが、経験を積めば会社によって収入アップが期待できます。以下の資格を取得すれば、収入アップのチャンスが広がります。
- ガス溶接技能者
- ガス溶接作業主任者
- アーク溶接作業者
- アルミニウム溶接技能者
- ボイラー溶接士
溶接工は、経験を積んだり、溶接の資格を取得して給料アップは目指せますが、未経験者の場合は収入面で不満を持ちやすいです。
※1 » jobtag(外部サイト)
※2 » 国税庁(外部サイト)
溶接工の仕事のやりがい
たいへんなイメージの溶接工ですが、以下のように、やりがいもたくさんあります。
- 高度な技術が求められる
- 多様な業界で活躍できる
- ものづくりの達成感がある
高度な技術が求められる
溶接工は、技術が製品の品質を大きく左右するため、高い技術力が必要になります。溶接には、アーク溶接やスポット溶接、レーザー溶接などの方法があり、それぞれに専門的な知識や技術が必要です。
金属の材質や用途に合わせて、最適な溶接方法で作業をするには、長年の経験と努力が求められます。溶接は安全管理も非常に重要です。高温の火花や有害な煙が発生するため、事故や健康被害を防ぐための知識を学び、適切な安全対策をする必要があります。
高度な技術と経験を積み重ね、精密機器や構造物の溶接など、より専門性の高いプロジェクトに携われる可能性も。高度な技術の習得は、溶接工としての市場価値を高め、キャリアアップや収入アップにも繋がります。
多様な業界で活躍できる
溶接は、さまざまな場所で必要とされる技術であり、建築や製造、修理など多様な業界で活躍できます。自動車や航空、造船などの製造現場でも、溶接は必要不可欠です。新しい技術や材料を使った溶接を行う場面もあり、技術力を高められます。
発電所や生産設備などでも溶接工は必要とされ、責任感とやりがいを感じられる仕事です。国内だけでなく、海外のプロジェクトに参加するチャンスもあり、グローバルに活躍も可能です。異なる文化や言語の中で、自分の技術をいかすのは、貴重な経験になります。
大規模なプロジェクトでは、チームでの作業が中心です。コミュニケーション能力やチームワークを養え、技術の向上はもちろん、キャリアの幅を広げられます。溶接工として、さまざまな経験を積めば将来的に、現場監督や品質管理、設計など多様な業界で活躍できます。
ものづくりの達成感がある
溶接工は、自分の作ったものが形になる、ものづくりの達成感を味わえる仕事です。自分が溶接した製品が完成した時、自分のアイデアや技術が形になった喜びは格別です。自分が作ったものが社会に役立っている実感を得られ、大きなモチベーションになります。
溶接工は決して楽な仕事ではありませんが、高度な技術を習得し、経験を積んでいけば大きな達成感と充実感を得られる仕事です。ものづくりへの情熱と、技術を磨く意欲があれば、溶接工は、やりがいのある素晴らしい仕事と言えます。
溶接工に向いている人の特徴
溶接工に向いているのは、以下の特徴の人です。
- 体力と忍耐力がある人
- 細かい作業に集中できる人
- 継続的な技術学習ができる人
体力と忍耐力がある人
体力と忍耐力がある人は、溶接工に適しています。溶接工の仕事は、長時間立ち仕事や重い機材を扱うため、体力が必要です。夏はとくに暑さとの戦いになり、過酷な環境下での作業が続きます。どんな環境でも、コツコツと作業を続けられる忍耐力も大切です。
火花が散るきびしい環境にも負けずに作業ができる精神力も求められます。疲れにくい体質や、しっかり休んで回復できる力も重要です。体力維持のためには、定期的な運動やバランスの取れた食事など、健康管理を心がけましょう。
細かい作業に集中できる人
溶接は、高い精度が求められる繊細な作業です。以下のような細かい作業に集中できる人は、溶接工としてたいへん重宝されます。
- 長時間、集中力を維持して作業を丁寧に続けられる
- 長時間、同じ姿勢で作業できる
- ミリ単位の繊細な作業にも、根気強く取り組める
細かい作業に集中できる人は、高品質な製品を生み出し、大きな達成感も感じられるでしょう。
継続的な技術学習ができる人
継続的な技術学習ができる人も、溶接工に向いています。溶接の世界は奥深く、常に新しい技術や素材が登場しています。溶接工として、技術の進化に対応し続けるためには、以下のポイントが大切です。
- 新しい技術や知識を積極的に吸収しようとする意欲
- 常に最新の情報や技術動向に関心を持ち続ける探究心
- 自分自身で学習計画を立て、継続的にスキルアップできる行動力
新しい技術を習得できれば、仕事の幅が広がり、より高度なプロジェクトに挑戦できます。継続的に技術を学び続ける人は、溶接工としてキャリアアップが可能です。
溶接工になる方法
溶接工は、資格がなくても就職できますが、仕事を進める上で必ず資格が必要となる場面があります。将来安定して活躍するためには、専門的な知識と技術を習得してから、溶接工を目指すのが基本です。溶接工になるための具体的なステップは以下のとおりです。
- 溶接技能士の資格を取得する
- 専門学校や職業訓練校で学ぶ
溶接技能士の資格を取得する
溶接工として働くなら「溶接技能士」の資格取得を目指しましょう。溶接技能士は、溶接の技術と知識を証明するための民間資格です。以下は、溶接技能士の資格について、日本溶接協会(JWES)からの引用です。
溶接技能者資格は、まず溶接する材料や対応する業界により、大きく9種類に分かれています。例えば、炭素鋼の資格(手溶接技能者資格、半自動溶接技能者資格、すみ肉溶接技能者資格)、ステンレス鋼の資格(ステンレス鋼溶接技能者資格)、基礎杭業界に対応する基礎杭溶接技能者資格、石油業界に対応する石油工業関係溶接士資格などがあります。9つの種類の中で、①溶接方法、②裏当て金の有無、③板厚・肉厚、④溶接姿勢など、細かく具体的な資格種別が分かれます。
制度紹介 – JWES:日溶協ポータルサイト
溶接技能士の資格試験は、実技試験と筆記試験の2部構成のものがほとんどです。溶接技能士の資格を取得できれば、技術と知識の両方をバランス良く身につけられます。
溶接技能士の資格は、就職活動において有利になるだけでなく、現場での評価向上やキャリアアップにも繋がります。溶接技能士としての評価が上がれば、収入の増加やより責任あるポジションへの昇進も可能です。
溶接技能士として活躍し続けるためには、資格取得後も、技術の進歩に対応していく必要があります。定期的な研修などで最新情報や技術を学ぶ姿勢が大切です。
専門学校や職業訓練校で学ぶ
溶接工を目指しているなら、専門学校や職業訓練校への進学がオススメです。学校では、経験豊富な講師から技術と知識を直接学べます。専門学校や職業訓練校で学ぶメリットは以下のとおりです。
- 経験豊富な講師から、現場で培われたノウハウを直接指導してもらえる
- 最新の機器を使いながら、実際の作業に近い環境で技術を習得できる
- 溶接技能士などの資格取得をサポートしてくれる
- 求人情報の提供など、就職活動に必要なサポートが受けられる
- 同じ目標を持つ仲間と出会え、互いに刺激し合いながら成長できる
専門学校や職業訓練校での学びは、溶接工への近道です。
まとめ
「溶接工はやめておけ」と言われる理由は、以下の5つが挙げられます。
- きびしい労働環境
- 身体への負担
- 職業病のリスク
- 人間関係の難しさ
- 収入面での不満
溶接工はたいへんな仕事ですが、高度な技術を習得できる、やりがいのある仕事でもあります。溶接工に向いている人は、体力と忍耐力がある人や集中力がある人、継続的に学び続ける意欲を持つ人です。
専門学校や職業訓練校で学び、溶接技能士の資格を取得できれば、安定したキャリアを築けます。溶接工は、きびしさの中にも多くのやりがいが詰まっています。自分の手で作り上げる達成感や、日々の成長を実感できる仕事に興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。
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